以前にも書いたけど、私たちの出会いのきっかけも、それ。
私は『出会い系』とは思わずに、そこの掲示板に募集をだして、それに応えてくれたのが、愼。
そもそも、出会い系というものは別世界のことのように感じていたので、自分が出会いを求めてそれを利用するなんて考えてもいなかった。
けど、あとから愼と話せば、愼は
「俺らなんて出会いといえばそういうところでしかないから、出会い系掲示板使うしかない」と言う。
掲示板で知り合い、そこの掲示板内の私書箱を通じてやり取りをして数回、カカオトークをインストールし、そこからカカオトークでの会話が始まった。
そこで、最初にやり取りの頻度について 聞かれたのをよく覚えている。
「少しずつでもいいので毎日あったことなどやり取りをしたいです」と送ったら
「よかった、いちいちやり取りなんて面倒くさい、と言われたらお互いわかりあえないと思っているので」
と愼から返事がきた。
まだ、私も当然遠慮がちだったなぁ、と思う。
愼もそうだったと思うけど、相手がどんな人かわからないし、探りあってたときだったかな。
実際会うまでの数日間はこんな感じ。
やり取りを開始して会うまですごく長く感じたけど、あとから数えてみたら、数日間だった。
年明けまで会えないかな?と思っていたようだけど、色々なタイミングが重なって、すぐに会えた、会わせてもらえた、みたい。
出会い系で知り合ったというと、ええーー。。と思われることも多いのかもしれない。
実際、そういう危険な出会いも多いのだろうし。。
でも、あとから愼の知り合いの話などを聞くと、利用している人って案外多いのかもしれないなぁー、と思う。
初めて会った日、食事しながら色んな会話をしている途中、私はほぼ、瑞のことを見抜いた。
恋愛に対して、いやな思い出、トラウマになってるんだな~とか。
自分をうまく表現したり、見せることが臆病になってるな~とか。
自分に自信がなくて、自分をぶつけて生きてみようってことができてなかったんだな~とか・・ほかにもいっぱい。
見抜いたものは、すべて当たってた。
何よりも、なんでこんなに心が凍結してるんだろう?と思った。
感動というものがない。感動しているかのように見えても、心の芯部はなにも動いていない。
凍り付き、固まり、なにも感じなくなっているんだなと。
けれど、実は情に厚く、人のために喜ばれることが好きなタイプなんだけど、こればうまくいってないんだな、、、
人間関係がからっきし下手な人。
まぁ、なにが悪いからうまくいかないのか・・・・?
線引きができていないので、所かまわず、首をつっこみ、頼んでもいないのにアドバイスしたりして、失敗して。。。
挙句の果てには、勝手に首を突っ込んだことへの、恩返しを期待してしまうので、そりゃ~~当然ダメになるんだ。
1つ1つ教えてあげたいな。普通に気楽に、生活できるようにするには、アンテナをどこへ向ければいいのか、まず、そんな人生についてを教えてあげれば、いつかうまく立ち回れることができるはずだから。
自分の顔に責任を持てと言われる年代だが、ちょっと不安だ。
けど、だいぶ表情はかわったし、良い方向に流れているとは思うけど、臨機応変とか、空気を読むとか、人との関わりで一番重要な部分がどうしても苦手なんだな~~
私が彼女を、もっと楽にしてあげたいな。 そう思いました。
こんなに肩肘張ってる人生は疲れるだけ。
そうじゃなくて、すべて白黒はっきりさせなくても、グレーだっていいこと、沢山あるんだって。それだけでも、楽になると思うからね。
自分に甘く、他者に厳しいところも同じく・・・・
他者に厳しいとなると、自分には甘いのは、通りません。
そんな意味で、人から安心し、信頼される人とは、いったい。。。みたいなところから、入っていこうと決めた瞬間がありました。
なにを話したんだろうか?
もう振られる覚悟は決まっていた。
けれど、内心は、「どこで言う?自分の気持ち。。。いつ伝える?」
とタイミングを計っていた。
好きな人に見つめられると、女性は、うつむいてニコニコしているのが一般的。
しかし、私は、「なに?!」と怒られてしまったし・・・・・
駅に一番近いパーキングに車を入れ、まだ少しだけ時間がある中で、会ってみてどうおもったの?と質問した。
「え・・・・愼さんは?」 逆に質問された。
「・・・・・・・・・つきあって!」
「え?!・・・・うんうん!!」
「えーーー!!」
え?・・・・・なにこれ。成功したの?嘘でしょ??え??
ものすっごい嬉しかったのと、恥ずかしいのがごちゃまぜになって、ネックウォーマーの中に顔を入れて大喜びを隠していた。
もうたまらなくうれしかった。
振られる覚悟をしていただけに、大逆転とは驚いた。
そして、少し、今後はどんな感じでつきあっていくことになりそうだとか、会えるペースとか。。
瑞からは、FTMがよくわからないので、、という話も出ていたと思う。けれど、別に男と付き合ってると思ってくれていいよ、とか言った気がする。
心配したのは、あの掲示板はLGBTの集いでの募集であって、瑞は本当は女性が恋愛対象の女性かもしれない。
だとしたら、私は女性として彼女としてつきあっていくには無理がある。そのところが、心配だった。
瑞は自分のセクがよくわからないと言っていたし、けど、セクなんか決めなくてもいいことだと思うが、嗜好だけはどうにもならないし。。。つきあって、という言葉にOKはくれたけれど、果たして本当に私とで大丈夫なんだろうか?
新幹線の時間がきたので、切符売り場で入場券を購入して、珠と改札をくぐった。
誰もいないエスカレーター。
ホームまでの短い時間を、そっと手を繋いだ。ホームに入ると車掌さんがいるのが目に入り、スッと繋いだ手を放した。
もう少し一緒にいたいな・・・・
でも、今日はしょうがないね。そう思いながら。。。
ホームでも、結局何も話すことができず、ただ滑り込んできた新幹線に珠が乗り込んでいく姿を見送って、ものすごく寂しくなっていた。
見えなくなっていく姿を見送り、ひとり、寂しくホームを降りた。
心がジンジンしていた。
そして、もう会いたいと、見送ったばかりなのに、そう思っていた。
そして、ひとりの帰り道。車内はこの曲が流れていた。。。
「今日は、さっき、娘が熱が出たという知らせが入ったので、食事が済んだら帰りますね」 と言われた。
予定としては、近場のイルミネーションを見物して、そこのレストランで食事を計画していた。
けれど、瑞の食べ物の好みなど、聴いておくのをすっかり忘れ、実はかなり苦手なものがメインの食事になってしまうところだったので、知らずに行ってしまわなくてよかった~~と後で思った。
イルミネーションを見ようという計画がつぶれた。。。。これ、もしかして、私と会ってみて、断りたいけど、せっかく来てくれたのに、顔見て断るというのは悪いなと思って、食事だけにしたってことかな??
この出会い、私だけのときめきで、終わっちまうのかな?・・・
けれど、車の中での会話は、どことなく機嫌も良さそうだし、乗り気な風にも見えるけれど、そういう人を傷つけない演技ができる人なのかな?
色々思いながら。。。。どこいこうか?
「この町で一番おいしいところ!!」
「え。。。。。」
とかく、地元の人間というのは、紹介してと言われても地元だからこそ、もうどこが一番なんてわからなくなってしまっているものじゃないか?
年末の金曜日でもあるし、忘年会の予約が殺到で、いきなり入っても満席で断られて、別のところいって、、、また断られて。。。
時間切れでご飯抜き?それは困る。
パッと思いついた。
私の地元で人気のレストラン。
もちろん、瑞の地元付近にもあるのだけど、それほど店舗数はなく、数えるくらいしか行った事がないという。
17時半にはまだなっていなかったと思うが、一番いい時間帯に到着し、まだ空席が残っているので、すぐに案内された。
いつもの食事時といえば、ここのレストランはいつも大混雑。かなり待っている人が多いところ。
いちお、すぐに通されるのはわかっているが、暗黙の了解で予約の記名をしておく。
ふと、いつも偽名を書いていたっけな。。。。。
しかし、私はこの瑞との出会いには、絶対があったので、バシッと本名を記入した。
瑞は見ちゃいけないと思ったようで、離れていたけれど。
席の用意の間のほんの10分くらいを、待合席で座って待っていた。
ふたりの座った場所は、子供一人分入れるくらいの空間があり、それも違和感として、その場で指摘した。
「誰かとつきあったことは?」
唐突に質問される。
ん。。。。過去の話は、あんまりしたくないけどなぁ・・・・・でも、嘘は嫌だから、正直に話すか。だって、もうなんにも後ろめたいことなんか何もないんだし。。。
「つきあったのは1人。本気になったのは一回だけだよ」
それだけ伝えると、席を案内されたので、それ以上のことはここでは話さなかった。
席に案内されて、メニューを決める。
すぐにオーダーは運ばれてきたけれど、瑞は昼食が遅かったということで、あまり食べなかった。
店員さんに、「お口に合いませんでしたか?」と気にされるほどw
そこではたぶん、仕事の話をしたり、聴いたり。あとは、好きなアーチストの話とか・・・
あとは、周りが気になって、あの出会いのきっかけとなった掲示板の話などは、聴いてみたかったけどできなかった。
一瞬、会話が止まり。なぜか私は、瑞を食い入るように、じっとみつめた。
「なに?!」
ちょっと怒ったような、拒否されたような言い方に、あぁ・・・・ダメだ。。。嫌われた・・・
と諦めモードに入っていた。
今日は振られる結末だな、こりゃ。。。。
結局、帰りの新幹線の時間が迫ってきたので、駅までちょっと遠回りして送ることにした。
友達で。。。とか言われるなら、まぁそれでもいいか。
でも、私は友達なんかいらない。彼女がほしかったんだ。
断られる結末でもいい。
今日、会えたことを感謝して、自分の気持ちを伝えよう。
またこのyoutube??。。。。いやいや画像は同じですが、これは前回のオルゴールとは違い、歌詞つきの、ご本人様歌唱のもの。
なぜか?というと、私が瑞に出会った頃、懐かしいアルバムを引っ張り出して聞いていた曲だから。
この曲を聞くと当時の気持ちが蘇る。あんな気持ちは二度と味わえないだろう。
カカオトークがつながったあとのこと。
1日1回送受信があっただろうか?ない日もあったかな?
実はお互いに遠慮もあり、また、私は自然消滅するのではないか?と、あまりガツガツしていなかった。
この人、。。。。実際に会う気があるのかな?
という疑問を抱えて。
「瑞さんは、ここでいい人がいたら、会ってみようと思いますか?それは私を含めて」
すると、「あります!」という返事が返ってきて驚いていた。
え?!こんなにのんびりペースなのに、会いたいと思えば動く気があるんだ???
そして私と会う気があるのか?それには、怖いということが書かれていて、きっとこちらから引っ張ってあげなくては
本当に何もなくテンションが下がって終わってしまうだろう。
「私も会って喜んでもらえる自信はありません。でも、会ってみなくては何も始まりません。あたって砕けろ!の精神でいいのではないでしょうか?」
というような事を書いて送信した。
12月の年末に差し迫った時期でもあり、年内に会うことは難しいかもしれない。
どうにかして年内に約束したいけれど、まぁ、無理は言えないな・・・と思っていると、瑞の方から日程の提案が出た。
マジか?!
ここで会わなきゃ、きっと次回はないよ!私は即答でOKした。
2014.12.26・・・・
この日、私は仕事だった。
瑞は、私の住む町も、勤務する町も飛び越えて、県外のとある場所へ出かける用事があった。
なんと、知らない場所ということだったら、ひとりで現地まで行くという。
行動力のある人なのかな?
けれど、やはり道中は不安があるようで、このままの経路で到着できるのか?みたいな心配な内容のカカオが飛んできた。
珍しく私の勤務先は、この日とっても穏やかで暇な時間もなかなかあった。
年末に向け、一掃しだしたのが早い年だったよな。・・・
瑞が向かった先のあたりに詳しい同僚に、その経路で行けるのか?と聞いてみたりして、カカオで珠へ知らせたりする余裕もあった。
この時間、私はすでにそわそわしていて、過去に感じたことがない「なにか」をキャッチしていた。
いつもの私らしくない。・・・いや、それは実にいい意味で。
待ち合わせ17時
ここまでには一旦家に帰って着替えて、やることをやって出発した。
やはり車で向かう道中も、この曲は流れていた。
ドキドキというより、引き寄せられるように、なんなんだろう?この心のざわめき。。。。
時間に間に合って駅に到着するが、それらしき人物が見当たらない。
カカオのやり取りで、お互いに駅にいることはわかったが、どうも、お互いに探し当らない様子だった。
この辺になにが見える?とか、車はこの色だよ、とか、いろいろやり取りしていると、どうも、私は南口、瑞は北口にいるのだということがすぐにわかり、「その近くに交番があるでしょ?そこにいて。すぐ行くから!」
普段、車が傷つくのが嫌だから絶対走らない、細い道をイチかバチか、対向が来ませんように!!願いを込め、セーフで通過。
この道にすれば、通常の道より5分以上縮まるのだ。
信号が青になり、交番前に車をつけた。
交番の方を見ると、ひとりの女性が車のナンバーを1台1台チェックしてはこちらに向かってくる。
あのひとだ!!
そんなにナンバーチェックしてたら、怪しいから・・・・・・と感じながら。
すーっと助手席側に来た。
窓ガラスを少し下げ、「瑞さんですか?」 「ハイ」
そしてご挨拶して、車に乗り、走りだした。
しかし、昼間からのざわめきは、ここで確信した。
ひとめぼれという奴だろうか。
見た目とかではなく、(見た目ももちろん美人な人だな、と思ったのは認めるけれど)
横にいる空気感が尋常じゃなく、ずーーっと前から知り合いだったような、それでいて、この車内の空気は初めて感じるもののような。とにかく、もう、目的地への道のりは、私の彼女だという感じがしていた。
つきあって、って言おう。
なにもしらないけれど、もうその道中で決定していた。
言葉にも文章にするにも、とにかくすべてを赤裸々にするには、日本語が難しいというか、この心の中を説明するのに相応しい言語が見つからないくらい、私には初めてのざわめきだった。
もちろん、素敵な出会いになったことは言うまでもない。