１日、有意義に過ごした中でも、その中のひとつについて書きます。

『指輪のこと』

私たちが出会った翌年の２月。
私からあげたプレゼントに、ペアリングがある。
急いで探して、ゆっくり吟味する余裕がなかったので、いいデザインにはサイズがなく、デザインもサイズも良いものでは間に合わず。。
そんなこんなで、中間をとったりして若干の妥協をして用意し、プレゼントしたリングでした。

安物だし、長くつきあってきてそろそろもう少しランク上のリングに買い換えたいねと話すようになって、かれこれ２年くらいたつけども、未だに替えてなかった。

実はふたりの意見は一致していて、欲しい指輪はもうすでに見つけてしまったのだ。
なぜ買わないか？
まー正直なとこ、とても高価であることから、すぐに
『じゃぁそれで！』
と言っていいものか？というのもあるんだけど、私の心の中には、その販売員の女性の方に、あと一歩を踏み込めない事実もありました。
高価だからこそ余計に。

私は物を買う時に、高額なものこそ特に、販売員の人柄とか対応とか重視するところがあり、凄くいいものでも、この人からは買いたくない。よその店で同じものを別の販売員から買おう、ということはよくやります。

２年前に会ったきり、そのリングの販売員さんとはお会いできてなかったんですが、その間、数回はその目当てのリングの生存確認をするみたいにショーケースを覗きに行っていました。もちろん瑞とふたりで。
去年の今頃に伺った時は男性スタッフの対応でした。
たぶん、よく覚えてないので可もなく不可もなかったのだろうと思います。
そして、今年は！
最初の年に対応してくださった販売員の方に２年ぶりに会うことになりました。
『こんにちは』と声をかけられた時、たぶん彼女は我々を見て、あ！あの時の！とは思い出さなかった様子でした。
私は２年前に彼女からいただいた名刺。裏面に品番とサイズを丁寧に記入していたたいていたので、ずっと持っていました。
いつか買いに来れますように！と。
それをさっと取り出し、彼女に見せたときに表情が変わったのを見逃しませんでした。
そのあと、去年も来店していること。そのときの対応スタッフから話を聞いているということ、事細かく話され、我々が店内で指輪を見に来た事が話題になっていた事を知り、とてもそれが歓迎ムードというより、興味本意の話題に上っていたらしいことを感じとりました。

あー嫌な感じ。
もうそれに似たものをいくつか探してきた私にとって、この人から同じものを買わなくても別にいいな、とテンションは下がりました。
もーこの指輪は見せてくれなくていい。
凄く欲しかったけど、もういらない。別のものでいい。

そこからさっさと離れてもよかったのだけれど、そのあとは、欲しくもないものを適当に見つけては、似合いそうだの傷がつきやすいだのの話をしたのみ。
彼女も、迷惑なんだろうな、見に来るだけで決して買いますと言わない我々は、ただの冷やかしにしか見えない客なんだろう。
それよりも、この人たちに、こんな素敵ないいものは売りたくない。。
そう思われてるのかな？
もう、いいことは何も浮かばなくなっていました。

長いこと悩んで、ずっと忘れられなくて、それでもこうして買わないことが決まったというのも、やはり最初から縁がなかったものなんだろう。
我々には、もっと似合うものがあるのだろう。
そう感じて店を出た。

奇妙なふたりに見られるのは、瑞に申し訳なく感じる。
悔しさと共に自分にも腹立つ。
初めて来店したあのとき、すぱっと買ってしまっていたら、こんな思いはしなかったのかもしれない。
いや、でも縁がなかったんだし。。。負け惜しみみたいで悔しいだけだな。
悪いことをしている訳ではないが、理解されない世界かというのは所々で身に滲みる。
それでも仕方ない。
悔しいけど、仕方ない。

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